yuzuha18の異世界見聞録

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yuzuha18の異世界見聞録

私的ファンタジー設定メモです

機械箒で掃く風に 〜現代魔女は見習い保安官〜2

 現代魔法小説「機械箒で掃く風に」の第2話です。

 挿絵なしのバージョンを小説家になろうで先行投稿しています。

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Chapter02: 日々の淵源

 

 家から学校までは掃除機で15分ほどかかる。当然急げばもうちょっと早いが、雨が降っていればもうちょっとかかる。そして今日の天気はもちろん大雨♪ 水もしたたる良い女ってね☆
 なんて言ってる余裕はもちろん無い。時刻は8時12分をまわった。SHRショートホームルームは8時30分開始だ。春雨だからといって教室に濡れていく訳にもいくまい。速度は落ちるが反射結界は必須だ。
 ちなみに。
 さっきまでは雨なんか降ってなかったし、天気予報も降るのは昼からなんて言っていた。しかし、私の隣を飛んでいるこの子、ガス状の生物あくまなんかを使い魔にしているせいか、呪いだかなんだかでこうしてしょっちゅう予報はずれの大雨に見舞われている。
 ……というか、どっちかと言えば毎回飼ってる本人より私の方が巻き添えを食ってる気がする。今日だって本人は高性能掃除機でスイスイいってるし。
「ええぃ、くるみ、ちょっと待って。その掃除機、化け物でしょ!」
 さすがくるみの掃除機は最新鋭だけあって法廷速度ギリギリでも余裕のコーナリングでビルの間を抜けていく。
「あっはっは。追いついてご覧なさ〜い? あいらも魔法高の生徒だろ〜?」
 くるみは全く速度を緩める気配がない。下手したら私を置いてくるみだけSHRショートホームルームに間に合うなんて事になりかねない。なんのもなしに、単独で遅刻するのだけは避けたい。はぁ……櫛風沐雨ってこのことを言うんだろうか。
 魔法高の授業は、生徒の自主性を育てるため、ごく少数の必修科目を除いては自由履修の単位制になっている。その上、事件解決の依頼や特別訓練などで欠席する生徒も多いため遅刻しても怒られるような事は無い。
 その代わり、何らかの用事で授業を抜ける場合には、きちんとした届け出をしなければ、成績にはきっちりと響く、何ともシビアな校風だ。
 その上なぜか始業式などの行事にも成績が付けられるという謎の伝統がある。魔女は儀式も大事にするんだってさ。
 まぁ、とはいえこの学校がシビアなのは当然と言えば当然のことかもしれない。
 というのも、お分かりだろう、魔法高は『魔女』専門の日本唯一の高校なのだ。

 『魔女』。
 魔力を有し、「魔法を使用する権限」を持つ唯一の国際資格。現代において魔力を持つ人間はそのほとんどが女性であるとされ、発現はおおかた2次成長期以前、その数も250万人に1人と非常に限られている。
 魔力に目覚めたすべての女児は、世界魔術師機構によって設立された各国の魔女養成学校に入学が義務付けられ、全員が中学校卒業までに魔女資格を取得している。
 つまりこの文明社会においては『魔力を持つ高校生以上の人間』=『魔女』といって差し支えないのだ。
 なぜ魔力を有する者の入学が義務なのかと言うと、前述の通り「魔法の使用」には資格や権利といった複雑な法的事情が絡むからだ。知らないままに無意識で魔法を発動してしまえば、それだけで逮捕、最悪死刑ということもありうる。
 それだけ現代において魔力や魔法技術を持つ事は、通常の武力や筋力を持つ事に比べて遥かに難易度の高い事であるのだ。
 さて、魔女養成学校への入学は義務だとは言うものの、それは中学までの話。魔法の行使に関する法律を学び、資格を取得したり、被教育中と言うことで無意識に使ってしまった魔法に対する罪が免除されるのも魔法中学までだ。
 魔法高は魔女が魔法を使う職業に就くための総合的な訓練学校。
 つまり、火を起こしたり物を浮かせたりといった程度ではなく、職業にできるレベルの魔女の卵が一堂に会するのがここ、魔法高なのである。
 ゆえに魔女を育成する魔法高に入学できたという事は、それ相応の素質があるということ。中でも私たちの所属する政治学部・保安専攻は、公安委員会の許可を受けてその魔法を武力転用して活動できる、最も強い魔力を持つ部類の魔女に分類される。
 ……だが、いくらなんでもこれはモビリティの性能の違いが決定的すぎる。
 私とくるみの距離はぐんぐんと開いていくばかりだ。
 もういっそ周りの目を気にせずに私の使い魔ピーちゃんを呼び出して乗っていこうか。そう思ったときだった。

 ……〜♪

 携帯が鳴る。流行りのバンドの楽曲。この音楽はスマホに最初から入っていた訳じゃない。歌手の名前も曲名もバッチリ理解した上でダウンロードしたものだ。この着信音はーー
(合・理・的・理・由、キターー☆)
「緊急依頼、受けよう、くるみ!」
「えー、しゃーないなぁ」
 私とくるみはポケットからスマホを取り出し、内容を確認した後、急旋回で掃除機の向きを替えた。

  ★☆★

 保安に関わる魔女が仕事を受ける方法は大きく分けて3種類ある。
 魔術師機構からの人員募集、魔術師機構もしくは依頼者からの直接指名依頼、そして現場に居合わせた際の緊急対応だ。
 これらは政治学部の生徒でも、1年生のうちに研修生以上の階級を取得している生徒であれば(というか、取れていないと進級できない)請け負う事が可能だ。
 もちろん、それぞれの難易度によって下限階級が設定されていて、その階級以上の魔女が任務をこなすのだが、魔法高の場合、その報酬にくわえて実働単位がつくこと、また、任務によって一定時間の欠席が公欠扱いになる事などから、魔法高生が受けられる難易度の仕事はほとんど魔法高の生徒らが請け負っている。
 私とくるみにさっき届いたのがその魔術師機構からの人員募集の一種、緊急依頼通知だ。これは魔法事件の情報を入手した魔術師機構が、現場に近い魔女のうち、下限階級をクリアした者たちに緊急で一斉送信するもので、通知を受け取った者は先着で返信することによって任務に就くことができる。
 ーーつまり。
 ここで任務を受けたことで私の遅刻は無かった事になったのだ!
「……いやいやー、失敗したら公欠つかないからね?」
「嘘!?」
 初耳だ。それが本当ならこの任務、絶対に失敗するわけにはいかない。
 『浜松町の立体駐車場付近で護送中の窃盗団員が魔法によって護送車を強奪。運転していた魔女を含む2名を人質に駐車場に立てこもり中。人質救出を最優先しつつ犯人を生け捕りにする事』か。
 成る程上等。窃盗団なんか木っ端微塵にしてあげるわ。
 運転していた魔女さんとやらもグッジョブ。いいタイミングでヘマをしてくれた。
「や、生け捕りだから殺しちゃダメなんだって」
 くるみが何か言ってるみたいだが関係ない。遅刻取り消しの為だ。1人残らず血祭りにあげてやろう。
 もちろん、そのくらいの意気込みで、って意味だけどね。

 指定の駐車場が見えてくる。無骨な鋼材で出来た巨大な自走式立体駐車場。5層6段、延べ床面積約1万9000平方メートル。ここが今回の仕事場だ。
 依頼通知によると、今回名乗りを上げたのは私たちを含めて6人。全員が魔法高の新2年生だそうだ。この時間帯で私たち以外にも請負人がいるなんて、どうせ寝坊でもして遅刻を取り消したいに違いない。不純なやつだ。4人の実動担当の他に保安担当が2人いるが、オペレーションができる生徒が1人も付かなかったのはつらい所だ。
 私たちの担当? もちろん実働担当だ。保安、つまり安全確保とか、そんな細かい作業ができるわけがない。バーっと犯人を倒して美味しいところを持っていくのだ。
 近場のビルの屋上に着陸して合流する。魔法高の実働系2年なら十中八九知り合いなのは予想がつくけど、その仕事仲間はーー
「委員長!?」
 そこにいた2人のうちの1人は、魔法高の入試を実技、学科とも主席でパスし、1年の時は前衛アドヴァンスドクラスの学級委員長を務め、1年にして大手掃除機メーカーのdaiskin社とスポンサー契約まで果たし、第一線で辣腕を振るう八面六臂の真面目系エリート、佐堀梨花さほり りんかちゃんだった。もう1人の子はちょっと知らない。

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「どうしたの!? 委員長も寝坊したの!?」
 わたしがついそう口走ると、委員長(厳密には新学期なので学級委員ではないのだが)はクスクス笑う。
「あいらちゃん達は寝坊したんだね」
 因みに後で聞いた所によると、委員長は3年次にインターンできるだけの単位を揃えておく為に普段から積極的に依頼を受けているらしい。
 根元までしっかりとムラなく萌葱色に染め上げた髪をアップにまとめ、上はベージュの新制服に下はホットパンツとブーツ。アレンジが効いてるけど、多分くるみと違って学校に申請しているんだろう。魔法高の制服は、必要に応じて学校の許可を得、着崩す事が可能なのだ。飛行時に不都合があるとかでパンツルックの生徒は意外と多い。スパッツ履けば良いじゃんねぇ?
 委員長は振り返ると、もう1人の子にも挨拶をする。
「はじめまして。特殊作戦FOS科のさとさんだよね?」
 するとさとさんと呼ばれた子はこくんと頷く。成る程、他の学科か。どうりで見た事無いと思った。というか委員長はなんで知ってるんだろう。
 さとさんは真っ赤な長髪に、どこの軍人かというような装備で、あちこちにナイフやら弾倉やらがくっ付いているが、特殊作戦FOS科じゃ普通なんだろうか。小柄で静謐な分余計に物々しさが引き立っている。
 ちなみに彼女達の髪色が派手なのは遠くから視認できるようにするためであって、別にアパレル関連や芸能関連の仕事をしている訳ではない。まぁ、魔女は市民の憧れみたいな事もあって、一部アイドルのような活動をしている人もいるのだが。
 特にここ数年は魔術師機構のイメージアップキャンペーンだとかで、そういう活動をしている人も増えて、へたなアイドルやスポーツ選手なんかよりよっぽど人気のある魔女も多い。そういえば「魔法高魔術芸能ショービズ科の見習い魔女チーム密着型リアルドキュメンタリー、Witchannel」なんて番組が人気を博していたが、メインメンバーの6人が卒業した今年はどうするのだろうか。魔術師機構に舞台を移して魔女の仕事に密着する業界の裏側紹介番組とかになるのだろうか。
 ともあれ、髪については私は目立ちたくない、くるみはこれ以上髪が傷むと禿げる(本人談)という理由で地毛のままだが、ビビッドカラーの髪色も魔女業界では普通の事、むしろ染めている人の方が多いくらいなのだ。あと魔法の術式構成の関係で染めてる人とか変色してる人も多い。くるみはこっちの部類ね。
「さ、本当は作戦会議でもしたいところなんだけど、生憎あいにく時間が無いね」
 委員長がそう言って駐車場の方に目をやる。私たちがその視線を追うと、ちょうど保安セキュア科の生徒達が駐車場全体に結界を張り終えた所だった。
 ハイタッチをしている所を見ると、どうも遅刻回避が目的だったらしい。窃盗団もそんな動機で閉じ込められるなんて、気の毒だなぁ。
「さー、あたしたちも急ごーよ。後2時間半後に教室にいないとどのみち全員遅刻つくよ」
 いつもきょろきょろと周を見渡すのに余念がないくるみが、今日は掃除機をいじりながらそう言って急かす。普段は最後まで面倒くさがっているタイプなのだが、よほど新しい掃除機が気に入っているのだろう。今回の報酬は20万円と公欠3時間、それに最大0.5単位だ。4時間目までには学校に戻らなければならない。
 ってか、始業式の日くらい授業が無くても良いと思うんだけどなぁ。
 委員長を中心に円陣を組む。
術者のwiches象徴 sign!」
 委員長がそう言うと、それに合わせて全員が杖を抜き、天高く掲げる。魔女が作戦前に必ず行うセレモニーだ。
「復唱。ひとつ、魔術の利は神と国とへ」
「「「魔術の利は神と国とへ」」」
「作戦開始!」
 委員長の合図で、全員が飛び立つ。残り時間はあと2時間20分。

異世界の植物①『サフルー』

さて

異世界の動物を考えるからには

植物も考えなければ変ですよね

 

しかし

神話や伝承

ゲームや小説など

ファンタジーに架空の動物が登場することは多くても

植物は意外と少ないようです

また、モンスターは様々な作品で共通するものも多いのですが

植物は独自のものが多く

そのため

「毒消し草」

「回復草」

など、その用途がそのまま名前になっていることが多いです

設定厨の私としてはそれでは面白くないので

今回は各地の伝承や神話から

それっぽいものを探して設定を詰めていこうと考えています

最初の1つは「サフルー」です

これは古代ローマのレシピに記されたハーブで

厳密には実在の植物を指すそうですが

何を指すかは全く不明だそうなので

せっかくなのでファンタジー薬草の名前として

使わせてもらいましょう

【オリジナル】「サフルー」イラスト/ゆずは@18日 [pixiv]

 

サフルーは水はけの良いアルカリ性の土壌に生えます

原産地はこの間設定した地図でいうところの北のほう

ポホヨラ西部にしましょう

異世界ミズガルドの地図はこちら

高さは80cmほどに成長し

全国各地で高級食材として栽培されていますが

人の立ち入らない山野で育ったものの方が

品質はいいです

用途は主に「夜明け茶」と呼ばれる高級ハーブティー

都市部の貴族等に高値で取引されます

甘い芳香のある紫色の3〜4cmの花を乾燥させ

お湯で抽出したもので

透き通ったターコイズブルーが綺麗な飲み物です

クリソメリアと呼ばれる柑橘類のスライスを浮かべると

綺麗なピンク色に変化することからこう呼ばれ

蜂蜜に当たる「ティジー・ウィジーの糖蜜」を入れて

飲みます

若葉と花は生でサラダにすることもあり

こちらも高級食材です

手のひら状に切れ込みの入った葉と根は生産者の農家が茹でて食べます

葉の表面は紺色のラメっぽい光沢があり

縁は滑らかで白い膜があります

白い部分は苦味があり、青い部分はほんのり甘いです

花期は初夏から夏

果実は小さくて固く渋いため食べられませんが

丸く中央に凹みがあり

あんドーナツのような形をしています

 

こんなもんですかね

今回は特に魔力を帯びているなんてことは想定していないので

これだけの設定があればいいでしょう

機械箒で掃く風に 〜現代魔女は見習い保安官〜

魔法の設定の一部を流用して、現代ファンタジーを描いています。

小説家になろう」で一足早く投稿していますが

そちらは挿絵なしになっています。

ncode.syosetu.com

 

以下から

Chapter01: 『押し並べて平々たる凡常』

スタートです。

 

 

 

 ……〜♪
 音楽が耳に入ってくる。スマートフォンに最初から入っていた、誰かも知らないミュージシャンの音楽だ。
「……う〜ん、…………」
 私は起きようかどうか迷いながら、2、3度ほど寝返りを打ったあと、わざとベッドから届かない位置に置いたスマホまで、途方もない覚悟で手を伸ばす。
 秒速数センチメートルの速度で床すれすれを這う右手につられて、頭、肩、腰がベッドからずり出し、ちょうど、うつ伏せの状態で腰から上が『く』の字に折れ曲がって床に落ちたところでスマートフォンに指の先が触れた。
 寝ている間に涙でぴったりとくっ付いた重い瞼を開くと、窓から差し込んだ朝の光が瞳に飛び込んでくる。そのまぶしさに何度か目をしばたかせると、少しずつ部屋の壁や天井が見えてきた。
待ち受け画面の時計は、朝の7時。
(やばっ、寝坊したかな……)
 どうやら6時半のアラームに気づかなかったらしい。
 寝ている時は魔法が使えない。時間通りに起きるためには文明の利器に頼らざるをえないのはつらいところだ。まぁ、昨日の事もあったし、今日は仕方ないということにしておこう。
 とはいえ、いつもなら余裕を持って朝の支度ができる所が、30分も違うとそうはいかなくなってくる。
 朝というのはなんでこんなに1分1分が貴重なんだろうか。本当に夜の1分と同じ時間かどうか、誰か確かめてみてほしい。
 パジャマを脱ぎ、パンツとブレスレットだけになる。そして毛布にくるまったままもそもそとベッドを降りる。
 一晩あっためた毛布の中の空間に、冷たいフローリングの床の温度が混じる。急速に熱を吸収するそれは下着姿の生足には刺激が強い反面、どこか健康的な心地よさがある。
 クローゼットの前まで移動すると、ブラジャーと高校の制服のシャツ、スカートを取り出し、毛布の中でゴソゴソと着替える。
 別に誰かから隠しているわけではない。
 やっぱり寒いのが嫌なのだ。健康的? 知らないよそんなの。
 一通り着替えが終わると、服が体温になじむのを待って毛布をベッドに投げ捨てる。
 そしてそのまま腕を振り上げて決めポーズ。私、麦嶋むぎしまあいら、覚醒。
「ふぁぁ……」
 あくびが出た。
 いけない。まだ眠気が覚めてなかったみたい。
「んーっ……」
 私は伸びをしたあと、ボサボサになった髪を手櫛で梳かしながら、寝室をかねたリビングと地続きの台所に向かう。
 ここは都心の一角にある高校生向けのマンション。
 ちょっとした事情から懐具合がいいこともあって、私の部屋は都内では裕福な部類に入る。
 ただし懐具合がいいのは親ではなく私自身のため、家賃は私持ちなのが悩みどころ。
 一人で住むには微妙に広い部屋を横切って、これまたでかい鏡の前に立つと、蛇口の水で顔を洗ってうがいをする。
 ついでに化粧水と乳液も塗って、パウダーでおさえてしまう。
 いつもはご飯の後だが、寝坊した日は先にやっておいた方が至当だ。
 まぁ、少し起きるのが遅くなったとはいえ、朝食をとる時間は十分にある。ちゃんと1日3食とってこそ健康的な生活が出来るってもんだよね。
 というかぶっちゃけ朝抜いたりしたら昼休みまで持たない。
 ブラシで髪を梳かしながら冷蔵庫を開ける。
 すぐに食べられそうな物は……昨日買った鮭の切り身しかない。というか、あさげ(生みそタイプ)よ、きみはなぜそこで冷えてる。
 いや、たしかに冷蔵保存の方が良いんだろうけど、私が入れたか? まぁいいけど。
 とりあえず鮭とあさげを取り出し、朝食の準備を始める。

 ピンポーン。

 玄関のチャイムが鳴る。平日のこの時間だ。心当たりは1人しかいない。
 私から何かレスポンスを取る前に、がちゃりと玄関の開く音がした。
「おはよー。お、いいね、新制服」
 やっぱりというかなんというか、くるみが入ってきた。
 真新しいブラウンのブレザーに、グレーのスカート。
 ……に、ネイビーのシワシワTシャツにソックス。
 それ去年までの制服じゃん。大丈夫なの? 校則的に。
 後野のちのくるみ。小学校から付き合いのある、私の同級生。
 ひいき目に見てもその辺の男子より高い身長に、私の前以外では総じて低いテンション。
 小学校の頃から降霊術ネクロマンシー系を得意としていて、その影響からか髪は癖っ毛の外はねショートカットで色も薄い。
 そして首元には使い魔である悪魔のモコを封入した十字架クロスのペンダント。
 ……うん。いつ見てもぱっと見ヤンキーを地で行っている。女子にばっかりモテるのも無理はない。
 まぁ私もこの子も小学校から魔女系の学校で周りは女子ばっかり。男子にモテた事なんかないんだけど。
 自然に脱色しているくるみの髪は美容室でやるのと違って色味がまばらだ。伸びたそばから色が抜けていくため先の方が薄い色になっている。
 なんでも降霊術ネクロマンシーを解くときに一緒に髪の色も飛ぶんだとか。ドライクリーニングで服の色が落ちるみたいなアレらしいよ。知らないけど。
 そう考えるとくるみは去年までの制服のほうが似合ってたかもしれない。
 魔法高の制服はくるみの着ているインナーシャツ同様、去年まで全身ネイビーだったのだが、魔女のイメージ悪化に繋がるとかなんとかで、今年度からブラウン系のブレザーに一新されたのだ。
 ーーけれど、この子、早速それをミックスしたコーデで来やがった。私は知らないからね? いや確かに似合ってはいるんだけど。
「ひゃっ!!」
 キッチンに向かっている私の後ろに歩み寄ってきたくるみが、やにわに腋の下から胸を揉んできた。
 それと同時に爽やかなダージリンティーのような、くるみの髪の香りがする。
 中学の終わりあたりからこの子はよく挨拶代わりに胸タッチなんかをしてくるようになったんだが、最近はもう挨拶とか関係なくなってきてる気がする。
 そろそろやめさせないといけないとは思うんだけど、もう手遅れな気もちょっとしている。
「お、朝ご飯?」
 普段ならくるみが上がり込んでくる時間には、もう朝食はテーブルに並んでいる。朝に私が料理しているのが珍しいんだろう。
「そう。ちょっと起きるの遅くなっちゃってね」
「ふーん。寝坊したんだ」
「……ご飯の前に始業式の準備してたんだよ」
「今、起きるの遅くなったって言ったじゃん」
 ……。
 また負けた。
 いや、今のは自分で墓穴を掘ったな。でもくるみは普段ぼーっとしてるくせに妙なところで鋭いのだ。下手にごまかそうとしても毎回毎回言い負かされる。

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「まぁ、どーでもいいけど。あたしにもなんか頂戴」
 くるみはくるっと向きを変えると、2、3歩歩いて再びこちらを向き、肩なんぞをモミモミしてくる。
 来た。くるみのクレクレ攻撃。私だからいいけど、それ他の人にやったら某掲示板で散々言われるからね? なんて思いつつも、実はこの子の分の鮭は、玄関のチャイムが鳴った時点でフライパンに追加している。とはいえタダで食わせるのも癪だ。
「炊飯器にご飯あるから2杯分よそって。それと皿2枚と汁碗2つ」
「いぇっさー」
 ふむ。いい返事。私サーSirじゃないけど。今日はこのくらいにしといてあげよう。
「ほら、座って」
「わーい」
 私が焼き鮭とあさげを器によそると、くるみも持っていたナイロンバッグとを置いて私の対面に座る。
 この子は自分の家で朝ご飯を食べてないのか、それとも単に燃費が悪いのか。
 私が骨と身を分けながらご飯と一緒に鮭を食べる横で、くるみは某大豆が大喜びするバーでも食べるようにぱくりと飲み込んだ。
「豪快だねぇ」
「こういう系は頭から丸ごといくのがいちばん美味しいんだよ」
 何言ってんの。切り身なんだからどこから食っても脇腹じゃんか。
 ふと、くるみの荷物を見る。掃除機が去年までのと違っていた。
「掃除機替えたんだ?」
「あーうん。去年までの、ランディングローラーがイカれちゃって……」
「ランディングの時、ヘッドをタッチダウンする癖、直した方が良いよ?」
「あはは……」
 そもそも、なぜ女子高生が掃除機を持ち歩いているんだという話だが、これが私たち魔女にとっての基本的な移動手段なのだ。
 いわば大昔の魔女が箒に乗っていたような感じ。
 そんな安直な、と思われるかもしれないが、魔力の性質は『普通とは逆』ということ。
 頭に被るとんがり帽子も、元は、足に履くブーツの形から来ているのだ。帽子のツバはブーツの折り返し、リボンは足首を締めるもので、当然先端はつま先。
 今では普段被ることのない帽子だけど、正式な場では裏地を表にした革のものが使われる。当然前後も『普通とは逆』にするので、先端は後ろに折れるのが正解だ。さらには表裏も『普通とは逆』。内側にはゴム底が詰まっているため、その重さは大変なもんだ。
 同じ理論でいくと、掃除機が『常に床を這って空気を吸い込む道具』なら、その逆は『常に宙に浮いて空気を噴射する道具』。つまりまたがって飛ぶのに適した道具ということになる。空気を噴射する『吸入口』を後ろにして股がることで、手軽に飛行できるアイテムというわけだ。
「それにさぁ、2年からあれもあるじゃん? 部隊編成」
「あー。あれかぁ」
  部隊編成。より熟練した魔法訓練のため、同学年から3〜10人の魔女部隊を結成して登録する行事だ。
 ここで登録したメンバーとは、よっぽどの事がない限り、卒業まで同じチームで行動する事になる。
「足手まといになってもアレだし、ちょっと良いの買っちゃったぁ〜」
 くるみはそう言うと、掃除機を抱えて頬擦りを始める。東野電気のFUNNEO vcl-100。6気筒のバーティカルトルネードエンジンを搭載した、多用途かつマルチな掃除機だ。
 そして飛行用コードレス掃除機にしては珍しく、ランディングローラーに緩衝装置が付いている。なんだ、この子もちゃんと考えてたのか。
「そっかぁ、私もそろそろ高めの買った方が良いのかなぁ」
 集団行動となると、掃除機のスペックは露骨に響いてきかねない。私は壁に立てかけてある、高校入学時に学校で注文した格安の掃除機に目をやる。旧制服と一緒に買ったのだ、一緒にお役御免がいいかもしれない。
「だからさ、早く食べなよ」
 くるみがせかしてくる。なにが『だから』だ。それに大体、なんでくるみに指図されなきゃダメなんだ。どのみちもう食べ終わるし。次々と言いたい事が浮かんでくるが、口にものを入れたまましゃべるのはルール違反だ。私は鮭とご飯を咀嚼しながら、目だけで抗議する。
「早く飛んでみたいんだよ〜。それに、ゆっくりもしてられないんじゃない?」
 言われて時計を見る。時刻は7時58分。確かにそろそろ家を出た方が良いかもしれない。私は最後の一口になった鮭を口に放り込むと、お茶で流し込んだ。
 くるみが掛けてあったジャケットをとってくれる。でも投げて寄越すのはどうかと思うよ、人の制服。
 心の中でぼやきながらジャケットを羽織って内ポケットに愛用のリボルバー銃を忍ばせ、ホルスターに杖を装備すると、くるみはいつものようにネクタイを取ってきて手早く結んでくれる。朝食の対価だ。私は何度やってもこれが覚えられない。なんでこうぴったりと端の長さを合わせて結べるんだろう。
 うがいをしてリップを塗る。
 リップとは言っても、別に色の付いたものではない。いや、別にそういうものが校則で禁止されているとか、そういう事ではないし、むしろ魔法高の特性上、ばっちりメイクしてくる生徒も多いのだが、私はどうもそういうのが似合わないらしい。
 一度やって大不評だったことをもう一度やったりはしない。いや、興味はあるけどもうちょっと研究が必要かな。
 そういうわけで無色で無香料のD○C薬用リップで唇にツヤを持たせる。まぁ、これも気に入ってるって訳じゃないんだよなぁ、無色でももうちょっとツヤのいいのないかなぁ。
 とはいえ、これで健康的で乙女で可愛い学園のアイドル、 麦嶋あいらの完成である。
 時計を見ると8時4分になっていた。なかなかちょうどいい時間だ。私はとりあえず、今日の所は古い掃除機を肩に担ぎ、バッグをもう片方の肩に掛ける。
 くるみも新しい掃除機を肩に掛けて気合い十分のようだ。
 フフフ、見せてもらおうか、くるみの掃除機の性能とやらを!
「いやー、それ言うなら東野電気の掃除機の性能じゃないかなぁ」
「……。もしかして私、声に出してた?」
「あと学園のアイドルはない」
 ぎゃあ。

小説も書きます

さて、

異世界ものの小説を書くことが

最終目的なわけですが

あいにく異世界の設定が

まだまだガバガバなわけで

しかし小説も書きたいわけです

そこで

 

出来上がった魔法の設定を活かして

現代魔法小説の執筆に着手しようと思います

こちらは作り込んでいるうちの

「魔法」に関する設定だけを引き継ぎ

別の設定も加えて

現代日本を舞台に執筆を考えております。

すでに1話、2話を「小説家になろう」にアップしているのですが

こちらのサイトでも一部挿絵付きで載せようと思います。

 

タイトルは

機械箒で掃く風に 〜現代魔女は見習い保安官〜

です

現代の魔女である主人公、麦嶋あいらが

コードレス掃除機にまたがり仲間とともに事件を解決しながら

一流の保安職系魔女を目指していく学園バトルアクションコメディー

となっております

ncode.syosetu.com

 

近日中に挿絵をつけて公開しますが

文章自体は「小説家になろう」での投稿が

先になります

お楽しみに

異世界の地理を考える①

さて

異世界設定の大前提となる地理

その第一弾

 

まずは世界地図を考えていきましょう

この世界はメインとなる大陸と

隣接する2つの大陸

小さな島などを合わせた

7つの国と地域がある世界ということにします

その配置図がこちら

【ファンタジー】「異世界「ミズガルド」世界地図」イラスト/ゆずは@18日 [pixiv]

この異世界全体をさして「ミズガルド」と呼びます

これは日本語訳で「世界」に値する単語で

混同を避けるためにあえて訳さずカタカナ表記をしている

ということにしましょう

上の地図でいえば右に行くほど湿度が高く

左から1/3ほどの位置がもっとも乾燥しています。

右上に行くほど寒く、左下に行くほど熱くなります

空には雲よりも高い位置に

右下から左上にかけて一直線に白い線

「空の橋」が通っており

ミズガルドの住人は知りませんが

これはこちらで言う土星のような

「惑星の輪」にあたります

 

物語開始時点で

右上の大きな大陸には

主人公の暮らすプティア王国

北の寒い国ポホヨラ皇国

湿地とマングローブの地域ティル・ナ・ノーグ

ドワーフの多い工業国シュジュ連邦

閉鎖的で宗教色の強いワク=ワーク国

があります

その下に世界最古の国で緑と遺跡の多いオリアブ民主共和国

左には農業と陽気な獣人の国エリュテイア連合王国

があります

これより海の外は調査が進んでいないこととします

当然物語はこの範囲内と一部日本のみにおいて展開します

 

ミズガルドには

一部の古代エルフ語を除いては統一言語が一つあるのみで

古代エルフ語も少々訛りが強いものの

文法や単語の語源は統一言語の系統にあると

考えていいことにします

エルフは古くからティル・ナ・ノーグに住んでいて

人間はオリアブ

獣人はエリュテイアにいました

国際化が進んで大陸が開拓されたのは最近の話です

 

ミズガルド全土においては

実際に神様が存在し、その御技たる現象があったり

降臨伝説が史実として残っていたりします

このため

価値観の違いによる衝突は多少なりとも起これど

大規模な宗教問題は発生せず

宗教といえば基本的に

「ミズガルド正教」

 1種類のみです

神への祈りも権威者への要請といった雰囲気で

どちらかといえばドライです

 

それぞれの国のキャラ分けについてはまた今度

インデックス

各カテゴリのページに飛ぶためのページです

ブログのカスタマイズとかには詳しくないのでこんな感じに

普通に記事として作っています

 

異世界設定

 地理

  ・異世界の地理を考える①

  ・異世界の国①『プティア王国①』

 魔法

  ・魔法の設定についてロジカルに考える①

      「そもそも魔法って何?」

  ・魔法の設定についてロジカルに考える②

      「魔法を使うには?」

  ・魔法の設定についてロジカルに考える③

      「具体的に魔法を使うプロセスは?」

  ・魔法の設定についてロジカルに考える④

      「魔法を発生させる身体器官は何?」

  ・魔法の設定についてロジカルに考える⑤

      「魔力に満ちた場所とは?」

  ・魔法の設定についてロジカルに考える⑥

      「魔法の属性って?」

 

 生物

  モンスター

   ・カーバンクル

  植物

   ・サフルー

 

小説

 機械箒で掃く風に 〜現代日本の魔女見習い〜

  Chapter01: 『押し並べて平々たる凡常』 

  Chapter02: 日々の淵源

  Chapter03: ワイ・ノット・ナッシング

 

異世界の生物①「カーバンクル」

さて、

魔法の設定も出来てきたところで

モンスターを作っていきましょう

 

結構な数必要なので

あっちゃこっちゃのファンタジー作品から

持ってきて設定を詰めていきます

 

記念すべき1匹目は「カーバンクル」です

 

カーバンクル
Carbuncle

【カーバンクル】「カーバンクル」イラスト/ゆずは@18日 [pixiv]

カーバンクルは民間伝承などで語られる

伝説の生物、またはUMA

額に燃える石炭のように輝く石を持つ小動物です

その伝承からルビーやガーネットなどの別名として

使われることもありますが

今回は動物が生成しやすい宝石として

クォーツを想定して設定しました

姿については小動物ということしか分かっていないので

ファイナルファンタジーぷよぷよ遊戯王など

日本での傾向に合わせて

耳の長いリスやウサギのような哺乳類ということにします

 

以下設定した特徴

 

リスやウサギに似た哺乳動物

耳が長く、鉄分の多い水辺に穴を掘って暮らす

水辺からケイ酸を取り込み、変換して

額にクォーツやヘマタイトを主成分とする六角形の宝石を作る


メスは頭胴長264〜318mm。体重120〜590g

オスは頭胴長283〜337mm、体重290〜745g

 

昼行性で、水辺や水中、地下の巣穴で暮らす
巣穴は長さ最大300mほど、深さ50cm位

複雑に入り組んだトンネルといくつかの巣室、出入口からなる


長い耳は非常に敏感で、巣の中でセンサーの役割を果たす
額の宝石は頭突きで敵を攻撃したり、縄張り争いに使われる

 

小魚や虫を食べる
捕食者はアセナ、タッツェルヴルムなど
冬には冬眠し、年に1回、冬眠から覚めてすぐに繁殖する

 

古くから食肉とされる

額の宝石は高魔力を帯びるため魔石にされる
この魔石もカーバンクルという

 

このくらい考えればいいでしょう

あとは地図ができたら生息域も付け加えようかな

カーバンクルを食べるアセナやタッツェルヴルムについては

また今度作ります